穀物
ビクトリア州の穀物生産
2012/13年度現在で、ビクトリア州は穀物生産で国内第4位、オーストラリアの穀物生産の10%をわずかに上回る生産量でした。穀物農場は主に州西部と北部、特にマレー地方とウィメラ地方に集中しています。ビクトリア州の穀物生産は州南部の多雨地域にも拡大を続けており、また比較的小規模ではあるものの、これまでは放牧業一辺倒だったギプスランド地方にも穀物栽培が広まりつつあります。ビクトリア州の穀物生産は、大規模農法による穀草類、油料種子、豆類が主体です。穀草類(主に小麦、大麦)生産はビクトリア州の穀物生産の約80%を占めます。穀草類生産の60%は小麦です。1980年以降、油料種子と豆類の生産が急速に伸び、総穀物生産に占める割合が1%から20%に急増しました。1
産業構造と生産力
ビクトリア州内で穀物を生産している農場は5,500あります。うち3,000が「穀物専門」農場、残り2,500が他の農作物との兼業です。小麦輸出市場の規制緩和を受けて、穀物輸出業者が増えています。2012/13年度のビクトリア州穀物生産額は23.1億ドルで、大半が穀草類でした。油料種子生産高の99%はカノーラでした。2012/13年度のビクトリア州穀物生産高を主要品目で見ると、小麦10億3900万豪ドル、大麦5億3300万豪ドル、カノーラ4億5500万豪ドルとなりました。2013/14年度のビクトリア穀物主要輸出先は、中国がトップで2億8900万豪ドル、次いでインドネシアの1億4200万豪ドルでした。2
マーケットアクセスと食品品質保証システム
ビクトリア州にある三カ所の穀物輸出ターミナル、メルボルン、ジーロング及びポートランドは、それぞれ深水港に直結しています。空輸、海上輸送共にアジアに近いことは、同業界にとって有利です。さらに、厳格な食品安全性基準に裏打ちされた清潔で安全な産物であることもポイントです。
穀物輸出コンテナ化のトレンド
ビクトリア州から輸出される穀物のコンテナ化が顕著に進んでいます。特にコンテナ輸出されることが多い品目は、小麦、大麦(モルト用、飼料用)、豆類(主にレンズマメ、インゲンマメ)、トウモロコシ、モロコシ、カノーラです。3
ホーシャムの穀物研究拠点は穀物産業の中心地近くに立地しており、豆類の品種改良や穀草類・油料種子の品種改良準備研究に関する国の研究機関となっています。
同分野で活躍している研究機関
- オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の動物・食品・健康科学部門:世界のトップ1%に入る農業科学研究機関
- アグリバイオ・サイエンス・センター(ラトローブ大学):ワールドクラスの農業・生命科学研究開発センター
- バイオセキュリティーリスク分析研究拠点
- 第一次産業のための気候変動研究戦略 (CSIRO)
- フード・サイエンス・オーストラリアは産学のパートナーと協力して科学研究の成果を革新的な食品業界ソリューションにします。所属研究機関に「イノベーティブ・フード・センター」があります。
- 穀物研究開発コーポレーション
- 穀物イノベーション・パーク(穀物研究拠点)、ホーシャム
- 第一次産業気候変動センター(メルボルン大学)
資料:
1. ビクトリア州政府―経済開発・雇用・交通・資源省、穀物業界概観(2014年12月)
2. Ibid.
3. Ibid.