酪農業
ビクトリア州はアジア太平洋地域最大の酪農産地で、乳製品の生産は国内最大です。100万頭の乳牛が飼育されているビクトリア州は牛乳全国生産量の3分の2を供給しています。生産、加工、輸出に強いビクトリア酪農業を支えているのは汚染のない牧草地と温和な気候です。2013/14年度の州乳製品輸出総額は23億豪ドルに上ります。1
ビクトリア州の酪農業就業人口は4万人です。そのうち乳製品加工業に約11,000人、州内約4,000の認可酪農農場に約16,000人が就業しています。2
安心を与える食品安全性と高度なインフラ
全国最大規模のビクトリア州乳製品サプライチェーンは、厳しい食品安全性基準と、活発な研究、高度に発達したインフラ、そして政府のサポートに支えられています。州産品は厳格な国家・州基準を満たす高級品です。乳製品安全性グループがそれぞれの農場を認可し、生産・サプライチェーン全体を通じたトレーサビリティーを確保しています。
フリーウェイが各地のインフラを連結しており、それによりメルボルン港や各空港、ビクトリア州地方部や他州の主要空港にも容易にアクセスできます。
旺盛な研究開発、多額の助成
ビクトリア州は伝統的に革新と創造性に満ちた探求で知られています。州政府は全国で最も研究開発助成に積極的であり、食品加工業界と緊密な連携を保っています。酪農業研究開発が重視しているのは以下の諸課題です。
- 遺伝改良と雌牛繁殖力
- 牛乳生産性と品質
- 飼料転換効率改良と牛群栄養管理
- 新たな飼草システムと放牧管理戦略の開発
- 農場水利用効率向上のための新技術
最近の研究成果の例:
- 高圧加工、圧力利用熱消毒、超音波、パルス電界、マイクロ波技術等を用いて安全で新鮮な食品を届ける新加工技術
- 無駄を最小限にする包装技術
- これまではチーズ生産の廃棄物と考えられてきたホエー(乳清)から有用タンパク質採取
政府の業界支援
- ラトローブ大学内に2億8800万豪ドルをかけて生物科学研究センターアグリバイオを建設(2013年)
ビクトリア酪農業界の優位性
- メルボルンの水質は危害要因分析必須管理点(HACCP)システムを用いて管理されています。このシステムは元来食品業界のために作られたものですが、水源地を汚染から守り、安定した品質の飲料水を消費者に届けるために応用されています。
- メルボルンは飲料水の質が世界でも最高の都市の一つです。取水地は注意深く管理されており、その多くは人の立ち入らない山林にあります。 メルボルンの貯水率は現在80%あります。3 最近完成した逆浸透圧淡水化プラントが水源地供給システムを保管し、世界でも最も厳しい飲料品質基準を満たす水を供給しています。
活気あふれる市場とクラスター化の利点
- ビクトリア州の食品加工業者数は3,600。オーストラリア最大の食品加工業界規模です。食品業界の雇用者数は133,000人で、輸出相手国は100カ国以上に上ります。4
- 州の食品安全性・バイオセキュリティー基準は非常に厳しいものです。
- ビクトリア州では常に協働が重視されており、州政府機関はその促進と支援に尽力しています。たとえば、メルボルンに本拠を置くフード・イノベーション・オーストラリア・リミテッドは、食品・飲料業界内の商業的協働を推進するために業界主導で設立されたネットワークです。
幅広く優秀な人材
- ビクトリア州の酪農業就業人口は4万人です。そのうち乳製品加工業の就業人口が約11,000人、100万頭以上の牛を飼育する4280ある認可酪農農場には約16,000人が就業しています。5
- ビクトリア州所在の各大学で農学、環境学及び関連科目専攻で学位を取得する学生の数は全国最多です。6
- 酪農関連の研究開発は、特に牛乳生産性と品質、雌牛繁殖力、飼料転換効率改良、新たな飼草システムと放牧管理戦略の開発、牛群栄養管理、水利用効率向上に力を入れています。
- メルボルンは農業バイオテクノロジーのリーダーとして国際的に知られており、特に高栄養牧草及び乳牛遺伝学研究で高い評価を得ています。
最近の主な酪農関連投資
- チョバーニがヨーグルト工場を最先端設備にアップグレード(2012年)
- マースがバララット工場に投資(2013年)
- Vプラス・デイリーが乳児用調製粉乳缶詰工場を建設(2013年)
- モンデリーズ・インターナショナル(旧称:クラフト)がアジア太平洋地域研究拠点を設立(2013年)
同分野で活躍している研究機関
- 第一次産業気候変動センター(メルボルン大学)
- 国立酪農研究センター、エリンバンク
- デイリー・イノベーション・オーストラリア:業界主導の酪農生産研究開発イノベーション・ハブ
- フード・サイエンス・オーストラリアは産学のパートナーと協力して科学研究の成果を革新的な食品業界ソリューションにします。所属研究機関に「イノベーティブ・フード・センター」があります。
- 第一次産業のための気候変動研究戦略 (CSIRO)
- バイオセキュリティーリスク分析研究拠点
- 動物バイオテクノロジーセンター(メルボルン大学)
- アグリバイオ・サイエンス・センター(ラトローブ大学):ワールドクラスの設備を誇る農業・生命科学研究開発センター
- オーストラリア=中国河川流域管理共同研究センター(メルボルン大学)
- アジア太平洋動物健康センター(メルボルン大学)
- オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の動物・食品・健康科学部門:世界のトップ1%に入る農業科学研究機関 第一次産業適応研究ネットワーク
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資料:
- Australian Bureau of Statistics Catalogue 5368.0, International Trade in Goods and Services
- ビクトリア州政府環境・第一次産業省、"Investing in Victoria – Dairy (2014)"
- BOM website
- ビクトリア州政府、第一次産業省食品繊維輸出実績報告
- ビクトリア州政府環境・第一次産業省、"Investing in Victoria – Dairy (2014)"
- 教育省:2013 Award Course Completions